8冊目はGRのフィクションでJoyce Hannam著のThe Death of Karen Silkwoodです!
語数……5585語
難易度……読みやすい。本書はGR(英語学習者向け)であり、Oxford Bookworms LibraryのStage2となっています。Oxford University Pressのサイトによれば、Stage2は英検準2級~2級程度のレベルのようです。参考までに記しておきますが、自分は多読累計168万語、英検準1級の時にこの本を読みました。
本書の紹介……タイトルを直訳すれば『カレン・シルクウッドの死』とでもなるでしょうか。彼女は実在した人物であり、本書は分類としてはフィクションでありながら実話に基づいているのです。(実際の事件についてはWikipedia『カレン・シルクウッド』の項目にまとめられています)実話がベースと知ってから読むと、本書の与える衝撃がさらに増すことと思います。物語はKaren Silkwoodの死という衝撃的なシーンから幕を開けます。今度は彼女の生前の行動が語られていきます。Karenは高給であることから核燃料製造工場で働いていました。最初は仕事もプライベートも充実した日々を過ごしていたKarenですが、徐々に工場の体制や管理に疑念を抱いていくようになります。そうして働いていくうちにKarenは工場の不正や捏造の証拠を掴みました。こうして疑念は確信へと変わったのですが、何やら不穏な空気が漂います。Karenは誰かに見張られているように感じることが何度もあったのです。決定的な証拠書類を手にしたKarenは新聞記者に会いに車に乗り込むのですが──
というストーリーになっています。冒頭が衝撃的な死から始まるので結末は分かっているわけですが、それでも読み進めていくうえで感じる緊張感はかなりのものです。告発をしようとして命を落としてしまう話なので、正直に言うと救いはないように感じるかもしれません。それでも危険を賭してまで正しいことをしようとする彼女の信念には大いに心を動かされるのではないでしょうか。
ここまでのスキャンダルは現実でも頻繁に起こることではないかもしれませんが、パワハラや不正を内部告発した社員が左遷された等のニュースは現代でもたびたび耳にするはずです。そういう意味では大人が読んだ方が怖さが増すような気がします。
【おすすめの洋書紹介(8冊目)おわり】
〈追記〉
*本ブログでは実話に基づいたGRとしてPenguin ReadersのThe Waveも過去に紹介しています。(『おすすめの洋書紹介(5冊目)The Wave【大人なら読みやすい】【GR】』)こちらも読んでいない方にはおすすめです!
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