15冊目はGRのノンフィクションでJohn Wood著のLeaving Microsoft to Change the Worldです!
語数……14017語
難易度……比較的読みやすい。本書はGR(英語学習者向け)であり、Penguin Readers のLevel3となっています。出版社のサイトによれば、Level3は英検準2~2級程度のレベルのようです。単なるレベルで言えば小中学生でも英語が得意なら問題なく読めると思います。しかし、「世界的な大企業を辞めて社会貢献をする」というのが主題の話なので、深く理解して楽しむという意味では大人向けかなと個人的には思います。参考までに記しておきますが、自分は多読累計1005万語、英検1級の時にこの本を読みました。
本書の紹介……John WoodはMicrosoft社に勤務するビジネスパーソン。彼は休暇で訪れたネパールの教育状況の酷さに衝撃を受ける。そこで帰国後、周囲の人々に呼びかけてネパールの子供たちにたくさんの本を寄付するプロジェクトを開始する。しばらくの間は仕事と両立させながらプロジェクトに取り組んでいたJohnであるが、彼はプロジェクトにより専念したいと思うようになっていった。「ネパールに限らず世界には文字が読めない子供たちがたくさんいる。そんななかで自分にできることは──?」Johnは葛藤を抱えながらもMicrosoftを辞めてプロジェクトに専念することを決意。プロジェクトはネパールにとどまらず──
というお話です! 彼の始めたチャリティー活動は現在ではRoom to Read(NGO団体)という名称で知られています。1人の社員の休暇先での出会いが今ではこうして世界中で広がる活動になっていることにとても驚きました。
いわゆる意識高い系の学生が口にする「世界のため」とはスケールが全く違うので読んでいて楽しいと思います。意識高い系の学生といえば、私が就活していたころには「カンボジアに井戸」というのが彼らを揶揄する言葉としてよく知られていました。
学生は企業での面接で「ガクチカ(=学業生活で力を入れたこと)」をアピールする必要があるわけですが、そこで意識高い系の学生が続々と「カンボジアに井戸を掘りました」とアピールし出したわけです。もちろん発展途上国でのそうした貢献活動は立派なことですが、あまりにも井戸を掘る人が目立ち集団面接などでは学生も人事も「またカンボジアで井戸の就活生だ」という空気が漂うようになっていました。最初の方にノウハウもない中で取り組んだ学生はとても大変だったと思いますが、現在ではなんと井戸掘りのためのツアーまで用意されていたりします。(検索したらすぐに出てきます)なんと『数日間で食事付き、観光ガイド付き、(井戸掘りはついで)』というような内容になっているわけです。彼らは就活の際にはボランティアのパートがメインであったかのように話すのでしょうが……。
近年のコロナ禍では井戸を掘るために海外渡航できるような状況ではないはずです。私は現在学生ではないのでこれはただの憶測ですが、今のいわゆる意識高い系の学生はSDGsの活動の方に重点を置いているのではないかと思います。数か月前、新聞記事にそうした活動団体の学生の話が載っていました。学生が「お前のところはちゃんとSDGsやってるのか」と数人で企業に問い詰めたという話です。SDGsにそうした年齢から興味を持つのは素晴らしいことだと思う反面、社会人の自分からすれば彼らの主張はだいぶずれて非現実的であるように感じられました。(ただ、何をどう変えれば現実的になるのかということを流暢に語るには自分の知識は足らないと思いますので、その辺りはちゃんと勉強したいと感じています。)
長々と書いてしまいましたが、今回紹介させていただいたLeaving Microsoft to Change the Worldはスケールの大きい社会貢献の話なので、ぜひ大人に読んでいただきたい1冊です!
【おすすめの洋書紹介(15冊目おわり)】
〈追記〉
原作の翻訳は日本語でも読めるようです↓
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