おすすめの洋書紹介(10冊目)Frindle【読みやすさ普通】【児童書】【フィクション】【言語学的要素あり】

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 おすすめの洋書紹介の記念すべき10冊目はAndrew Clements著のFrindleです! 読んだのはだいぶ前ですが、本書で語られるユニークな発想は今でもよく印象に残っています。

    語数……16232語

   難易度……読みやすさ普通。Amazonの対象読者年齢は8~12歳、Accelerated Reader BookfinderではMiddle Grades向けとなっていました。ネイティブ向けの児童書ではあるのですが、中身としては大人が読んでも十分面白いと思います。参考までに記しておきますが、自分は多読累計159万語、英検準1級の時にこの本を読みました。

ストーリー紹介……「Frindleって何?」と思うのではないでしょうか。「そんな単語は聞いたこともないし、人名だとしてもピンとこない」という感じだと思います。Frindleというのは実はこの本における造語なのです。主人公Nickはユニークなアイディアをたくさん持っている男の子。Nickはある日、「penはどうしてpenっていうんだろう? 代わりに他の単語で呼んでみてもいいんじゃない?」と考えます。そこで出てくるのが”Frindle”です。Nickは面白がってpenのことをfrindleと呼び、彼の友達も便乗します。だんだんともっと多くの人の間でfrindleが浸透していくのですが──

 というお話です! まずは発想がすごく面白いです。penはどうしてpenって呼ばなきゃいけないんだろう、などと日常的には考えつかないですが言われてみたらその通りですよね。これは児童書ですが、実はこの辺りの話は言語学的な考え方とも密接に結びついています。言語学では、言語の恣意性というものがよく知られています。「言語の恣意性」というと分かりにくいかもしれませんが、「あるものをある名称で呼ぶ必要は必ずしもないよね。今の名称は人間が恣意的に使っているだけだよね」という話です。これは本当に本書の「penをfrindleと呼んでもいいんじゃない?」という議論そのものになっています。penは偶然penと呼ばれているだけで、penと呼ばなくてはならない理由はどこにもないわけです。私は本書を読んだ当時は「言語の恣意性」という概念を知りませんでしたが、のちに知った時には「frindleとpenだ!」と真っ先に思った記憶があります。

 言語の恣意性といえば、英語学習者にとってはもしかすると身近なのではないでしょうか? 同じものを呼ぶのに英語と日本語ではたいてい違う言葉を使いますよね。というわけで、絶賛英語習得中の方にもぜひおすすめしたい1冊なので、読んでみてください

                       【おすすめの洋書紹介(10冊目)おわり】                                     

 

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