おすすめの洋書紹介(183冊目)The Boy at the Back of the Class【日本語:5000キロ逃げてきたアーメット】【読みやすさ普通】【たくさんの賞を受賞】

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 おすすめの洋書紹介183冊目はThe Boy at the Back of the Classです! 本書は様々な賞を受賞しており、日本語でも訳されています。出版は2018年ですが、私が出会ったのは夏のイギリスの空港でした。子供向けのベストセラーの棚に置かれていたのをきっかけに本書を知ることになりました。読み終わってみると、確かにこれはイギリスで広く読まれたんだろうなと感じました。

語数……56147語

難易度……読みやすさ普通。主人公の一人称視点で語られます。一人称視点の児童書に慣れている人であれば、特に困ることもなくスラスラ読めると思います。主人公は9歳なので、難しい単語や表現はあまり出てきません。Amazonの商品ページでは対象年齢8~12歳の表記となっていました。参考までに記しておきますが、自分は多読累計1393万語、英検1級の時に本書を読みました

ストーリー紹介……主人公のクラスには教室の後ろに誰も座っていない席が1つだけあった。しかしある日、1人の転校生がやってくる。転校生のAhmetは全く話そうとせず、生徒たちはそんなAhmetについていろいろな噂をするのだった。主人公とその友達はAhmetと仲良くしようと考える。最初はなかなか心を開いてくれないようだったAhmetも徐々に反応を見せるようになる。それからしばらくしてAhmetはシリアから逃げてきた難民だということが分かる。逃げてくる最中に家族とは離れてしまい、ロンドンの学校に通うことになっていたのである。英語を話さず馴染みのない土地で家族と離れ離れで暮らすAhmetの力になるべく主人公たちは頑張ってみるのだが──

 というお話です! 自分が子供だとしても絶対にやらないと思う主人公たちの行動がたくさん描かれていて、新鮮で面白かったです。

 個人的に少し驚いたのは、本書では終盤に至るまで主人公の名前が明かされないことです。主人公視点なので、自分の名前が呼ばれたところは適度にカットしてしまえばそれでも成り立ちますよね。最初読み進めている時に、この子の名前はなんだっけ?と思ったのですが、明かされていないことに気付いてそういった進行で書かれる本もあるんだなあと感心しました。主人公の名前やバックグラウンドもなかなか分からないというのは、読者が余計な先入観を抱かないような工夫なのかもしれません。

 冒頭に記した通り、日本語訳も出ています。表紙は原作のイラストですね。ただしこちらではあらすじの時点で主人公の名前が出ています。

 本書は主人公と同じぐらいの子供が読むのと、大人が読むのではだいぶ感じ方が違うかもしれません。成人した読者としては作中の主人公サイドにやや共感できないところもあったのですが、それも含めて楽しめるのではないでしょうか。皆さんにもぜひ読んでいただきたい1冊です!

                 【おすすめの洋書紹介(183冊目)おわり】

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